"F"からどこかへ 曖昧な性を生きるあなたへ

"F"からどこかへ 曖昧な性を生きるあなたへ

2021年12月05日04:00

【オンライン】

〈このイベントについて〉
 このイベントは、出生時に"F"(Female/女性)であり、現在あいまいな性を生きている方に向けて開催します。
 ご参加はすべての方が可能ですが、話題は"F"からどこかへ向かっている人、折り合いをつけかねている人、とりあえず着地してみた人などに関することです。
 
  トランスジェンダーについて注目される機会は増えましたが、「逆の性」に移行しきることのないノンバイナリー・Xジェンダー・ジェンダークィアなどの存在は不可視化されがちです。
 日本では、出生時男性に比べて出生時女性の方が、女性・男性以外の性別を自認している割合が高いという調査結果もありますが(平森・釜野ほか2021)、話題になりやすいのはMT系トランスジェンダーです。FT系はカムアウトしている著名人も少なく、映画やドラマなどの題材でもあまり見かけないため、特に若い当事者はロールモデルの不足を感じているのではないでしょうか。

 ペス山ポピーは、幼少時から自分の性別に迷いを感じていましたが、あえて遠ざけてきました。マンガ家のアシスタントをしていたときに受けたセクハラによって自身の女性性と向き合い、ノンバイナリー/Xであることを自覚するまでを、今年『女(じぶん)の体をゆるすまで』(小学館)で明らかにしました。
 吉野靫は、2001年にカミングアウトして生活を始め、その後「女性・男性のどちらにも帰属感を持たない」という立場で身体を変える手術を受けますが、医療事故に遭います。それを契機にトランスジェンダーに関する研究を始め、昨年その成果をまとめた『誰かの理想を生きられはしない とり残された者のためのトランスジェンダー史』(青土社)を刊行しました。 
 ペス山は「女(じぶん)の体をゆるすまで」連載中に吉野の本に出会い、もっと色々なことを聞いてみたいと思うようになりました。そんな、"F"からどこかへ向かおうとする経験を、多くの方(特に若い層や旅を始めたばかりの人)と分かち合おうというのが、この企画です。
 前半は、2人のこれまでを振り返りながら、ペス山から吉野に率直な疑問をぶつけます。後半は、吉野が調査しているノンバイナリー(周辺の)当事者について紹介し、あいまいな性で生きる人生を可視化するきっかけを提供します。そして、事前に寄せて頂いたご質問に答えながら、参加者の皆さんとお話を深めていきます。
 
 "F"というスタート地点を呪っている方も、捨てられない方も、どうぞご参加ください。もちろん、MT系トランスの方、バイナリーなトランスの方、シスジェンダーの方も歓迎します。  

〈ご参加にあたって〉 
 ・ノンバイナリー、Xジェンダー、ジェンダークィアなどに関連して、2人に聞いてみたいこと、知りたいことがある方はぜひ、申し込み時にお書き添えください。お申し込み後でも、「主催者へ連絡」ボタンからお送り頂くことが可能です。
 ・アーカイブ配信を検討中です。それに伴って当日は映像を記録します。
 ・書籍付きチケットは11月23日までの販売です。その後、イベント当日に間に合うように発送します。
 ・昨今SNSでは、トランスジェンダーであることをカミングアウトした若い人に対して、「何故そう思うのか根拠を示せ」などの嫌がらせを見かけることがあります。この企画に安心してご参加頂き、内容を悪意ある人に利用されることを防ぐため、一つのハードルとしてチケット代を設定しています(全て必要経費に充当します)。 同様の理由で、電話番号のご記入もお願いしています(こちらから連絡することは基本的にありません。データはイベント終了後1ヶ月で破棄されます)。どうぞご理解ください。

〈情報保障〉
 ・配信には日本語字幕が付きます。聞き取りに不安がある方もどうぞご参加ください。
 ・予算の都合上、今回は多言語対応ができません。何かご意見のある方は、お寄せ頂きましたら可能な範囲で反映していきます。

〈スピーカー紹介〉

ペス山 ポピー
漫画家。トランスマスキュリン、ノンバイナリーを公表。
著作に『女(じぶん)の体をゆるすまで』(小学館)、『実録・泣くまでボコられて初めて恋に落ちました』(新潮社)の2作。
関連記事「精液を飲ませたい」漫画のアシスタント先で遭遇した“セクハラ地獄”…「助かりたい」決意に要した“7年間”(文春オンライン)、「愛する誰かがいなきゃ救われないなんて、そんな残酷な話がありますか」 セクハラ事件からジェンダーの揺らぎに向き合う漫画『女の体をゆるすまで』作者インタビュー(ねとらぼ)

吉野 靫(ユギ)
学生時代は、学費値下げ運動とジェンダー・セクシュアリティ問題への取り組みに傾倒。
猫と暮らす。香港・韓国映画が好き。エッセイ「生活するトランスジェンダー 」連載中。
関連記事「誰かの理想を生きられはしない」書評 痛みをさらして届けられた言葉(朝日新聞)、カライモ学校 吉野靫×立岩真也『誰かの理想を生きられはしない とり残された者のためのトランスジェンダー史』刊行記念トーク(立命館大学生存学研究所)

※本イベントは科研費(19K20593)の助成を受けるものです。

注意:掲載後、開催日等予定を変更されているイベントもございますので最新情報は掲載されている主催者へご確認ください。

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